北海道統合医療協会代表理事 西谷雅史

1956年東京生まれ

北海道大学医学部卒業
札幌厚生病院産婦人科主任部長を経て2006年札幌の円山に「響きの杜クリニック」を開業

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会専門医
  • 日本東洋医学学会専門医
  • 統合医療学会北海道支部長
  • 日本ホリスティック医学協会理事
  • 響きの杜ネットワーク主宰
  • 西野流呼吸法札幌同好会主宰
  • 玄心流日本拳法師範

札幌厚生病院では1,500例以上の手術を執刀。

更年期障害の治療にかかわる中で「気」の世界に興味を持つ。
太極拳、西野流呼吸法、中国気功を実践し、「気」の存在を確信。
人間の「気」と自己治癒能力に働きかける代替療法を数多く学ぶ。

病気を意識の成長のための気づきと捉え、人間に本来備わっている自然治癒力を生かす統合医療と、調和を大切にした衣食住環境のネットワークづくりに力を入れている。

きっかけはジョン・レノンの「イマジン」

高校生のときに聴いたジョン・レノンの「イマジン」

その歌詞に込められた深いメッセージに魅せられた私は、ジョン・レノンが描いた世界をいつの日か実現させたいと漠然と思うようになりました。

「イマジン」の歌詞(和訳)

想像してごらん 天国なんて無いんだと
ほら、簡単でしょう?
地面の下に地獄なんて無いし
僕たちの上には ただ空があるだけ
さあ想像してごらん みんなが
ただ今を生きているって...
 
想像してごらん 国なんて無いんだと
そんなに難しくないでしょう?
殺す理由も死ぬ理由も無く
そして宗教も無い
さあ想像してごらん みんなが
ただ平和に生きているって...
 
僕のことを夢想家だと言うかもしれないね
でも僕一人じゃないはず
いつかあなたもみんな仲間になって
きっと世界はひとつになるんだ
 
想像してごらん 何も所有しないって
あなたなら出来ると思うよ
欲張ったり飢えることも無い
人はみんな兄弟なんだって
想像してごらん みんなが
世界を分かち合うんだって...
 
僕のことを夢想家だと言うかもしれないね
でも僕一人じゃないはず
いつかあなたもみんな仲間になって
そして世界はきっとひとつになるんだ 

和訳 Akihiro Oba

https://ai-zen.net/kanrinin/kanrinin5.html

私は、人生の中で出会った人々の健康を支えることで自分の生きた証を残したいとの思いから医師を志しました。

念願がかなって医師になりましたが、西洋医学の進歩に驚くと同時に、その画一的な治療に物足りなさを覚えたのも事実です。

医学生時代に薬害の患者さんと行動を共にしたことから、患者さんの体質(証)ごとに自然にある生薬を処方できる漢方に興味を持って勉強を始めました。

そしてたくさんのがんの患者さんを看取る中で、大切なのは延命の長さより命の質(QOL)なのだと気づきました。

そして、どのようなときでも希望を失わず、同時に死を受容できる医療を目指したいと思うようになったのです。

そのためには、西洋医学とそれ以外のさまざまな医療を組み合わせて統合した医療が必要になります。

患者さんにとっては、治癒に向かうための選択肢がたくさんあり、そこから自分にもっとも適したものを医師とともに選択できるからです。

なぜなら病気の真の治癒のためには、本人が納得して治療に取り組み、そして病気からたくさんの「気づき」を得ることが重要だからです。

40代後半のときに経験した脳出血

漢方、気功、抗癌サプリを取り入れた治療に取り組みながら、自らも健康だと疑わなかった40代後半のときに、私はなんと脳出血を経験しました。

しかもその発症は気功の大家から気を入れてもらった直後のこと。

そのため脳出血だと気がつかずに、当日はお酒を飲んだり、飛行機に乗ったり、熱い風呂に入ったり、転倒して頭部を打ったりするなど、ふつう脳出血では絶対してはならないことばかりをしてしまいました。

翌日に脳神経外科を受診した時には、幸いにも出血は止まっていました。

この時、「自分にはまだすべきことが残っているから生かされた」ことに気づかされました。

このことが転機となり、目指す医療を成し遂げるには医師として残された時間は長くないと考え、開業を決意しました。

ホロトロピックセンター構想

ちょうどそのときに、私の思いを具現化しているホロトロピックセンター構想に出会ったのです。

「ホロトロピック」という言葉は聞き慣れないものだと思います。

「ホロトロピック」という言葉は、スタニスラフ・グロフ博士の造語で、ギリシャ語の「holos(全体)」と「trepein(向かって進む)」を合成し「全体性に向かう」という意味になります。

一般によく知られた「ホリスティック」が全体からとらえるのに対して「ホロトロピック」とは全体に向かうことであり、宇宙的な視野から、その法則に従った観点で病い全体をとらえていくことに他なりません。

これをもとに立ち上げたのが「札幌ホロトロピックセンター構想」でした。

その構想とは

  • すべての人が「いい気分」になれる医療を行う。
  • 西洋医学と代替医学を統合する。
  • 「病気の治療を通じて人間の意識の成長と進化をはかる」という、いままでにない視点を持った医療(ホロトロピック医療)を実践する。
  • 自然治癒力を発揮しやすくする衣・食・住を提案する。
  • 上記のことを様々な面からサポートする施設を創る。
  • 同じ志をもつ人間が力をあわせて作り上げる。

というものです。

そしてここに集う人たちを私は「ホロトロピック・ピープル」と呼びました。

人は宇宙を構成するひとつの成分で、宇宙そのものなのだとわかると、生も死も全くの偶然も存在しない世界観が見えてきます。

また同時に地球もひとつの生命体ということもできます。

「私たちは地球という生命の一部である」ということを知ることで、

  • 他人とつながっていることに気づき、ひとに優しくすることができます。
  • 自分は生かされている存在であることに気づき、すべてに感謝する気持ちが芽生えます。
  • 死は終わりでないことに気づき、いつもいきいきとしています。
  • 自分自身である地球を守るために全力を注ぎます。 
  • すべてのできごと、病気でさえも私に気づきを与えるためのものであることを理解しています。

まさに私の目指す医療がここにあると確信し、それ以来、ホロトロピックセンターの実現が私の目標になりました。

「響きの杜クリニック」の開業

2006年にホロトロピック医療を実践する場として札幌の円山に「響きの杜クリニック」を開業することができました。

「心と体、人と人、人と環境、すべてが響き合ったときに人は初めて健康になる」

クリニックでは、このことを理念として、西洋医学と代替医療のメリットを組み合わせて提供する統合医療を取り入れています。

保険診療(西洋医学)と自由診療(代替療法)を上手く組み合わせて症状を抑えながら、「原因から変えていく医療」を実践しており、その効果が実証されています。

最近は原因不明の体調不良で受診される患者さんが多くなってきていますが、その中で確実に化学物質や電磁波によるものが増えてきています。

これらは「自然欠乏症候群」ともいえるもので、自然の中で外的ストレスから解放されることで治療効果が上がるものです。

また、自然の中にいることで五感が調整され、内的ストレスが軽減するのです。

いよいよ自然の中でホロトロピックセンターを立ち上げる時期が来たと感じました。

札幌 円山 響きの杜クリニックのサイトへ

そして「ひびきの丘」へ

札幌市の北側にある石狩丘陵の上に位置する旧聚富(しっぷ)小中学校は札幌が一望に見渡せる眺望抜群の場所です。

2021年に120年の歴史を閉じたばかりで、この間、たくさんの卒業生が全国に巣立っていきました。

2022年3月、この場所を多くの人々の心の拠り所とするため、私たちは「ひびきの丘」を立ち上げました。

ひびきの丘では、統合医療による健康を基盤とし、縄文時代から続く先人の知恵を学びながら衣食住の智恵を体験することができます。

これからの生き方の学びと気づきを得ながら、どんなときでも自分のことは自分で守り、最低限自活できる方法を身につけてもらえるように、現在さまざまなプロジェクトが始まっています。

そしていつの日か、多くのホロトロピック・ピープルの誕生を夢見ています。